メルヴィン・カルヴィン
ノーベル賞受賞者 受賞年:1961年 受賞部門:ノーベル化学賞 受賞理由:植物における光合成の研究 メルヴィン・カルヴィン(Melvin Calvin, 1911年4月8日 – 1997年1月8日)はアメリカ合衆国の化学者。カルビン・ベンソン回路をアンドリュー・ベンソンとジェームズ・バッシャムと共に発見し、それによって1961年にノーベル化学賞を受賞した。
来歴
アメリカ合衆国のミネソタ州セントポールでリトアニア・グルジア系ユダヤ移民の子供として生まれたカルヴィンは、1931年にミシガン工科大学から学位を、1935年にはミネソタ大学から博士号を得た。その後、マンチェスター大学で博士研究員として4年間在籍した。1942年に Genevieve Jemtegaard と結婚し、2人の娘と1人の息子を持った。
1937年にカリフォルニア大学バークレー校に講師として加わり、1947年に化学の教授に昇進した。1963年には分子生物学の教授の肩書きが追加された。彼は化学生物動力学研究所の創立者かつ所長であり、同時に1980年に多くの研究を指導し、引退するまでバークレー放射線研究所の副所長だった。
彼はジョン・F・ケネディとリンドン・B・ジョンソンのもとで科学諮問委員会と科学技術政策局の顧問を勤めた。また、アメリカ科学アカデミーに選出され、科学公共政策の委員長やロンドン王立協会、日本学士院、オランダ王立科学アカデミーにも就任した。
業績
放射性同位体である炭素14をトレーサーとして用いることにより、カルヴィンらは、光合成では最初に大気中の二酸化炭素が吸収され、炭水化物や他の有機物に変換されるという炭素の完全な移動を図示した。その際にカルヴィンのチームは従来信じられていた二酸化炭素にではなく、クロロフィルに日光が作用することで有機化合物の生成が促されることを示した。活発な研究の最後の年に再生可能資源としての石油生産プラントの使用についての研究をした。また、生物の化学的進化について長年研究を行い、1969年にそれを主題とした本を出版した。さらに、有機地球化学や発癌の化学、月の石の分析に関する研究も行った。
栄誉
カルヴィンはアメリカ化学会から1978年にプリーストリーメダル、1989年にアメリカ国家科学賞(National Medal of Science) を授与され、ロンドン王立協会からはデービーメダル、アメリカ化学者協会 (American Institute of Chemists) からはゴールドメダルを授与されている。
カルビン回路
カルビン回路(カルビンかいろ)は、光合成反応における代表的な炭酸固定反応である。ほぼすべての緑色植物と光合成細菌がこの回路を所持している。1950年にメルヴィン・カルヴィン、ジェームズ・バッシャム、アンドリュー・ベンソンによって初めて報告された 。ベンソンの名を加えてカルビン・ベンソン回路とも呼ばれる。
光化学反応により生じた NADPH および ATP が駆動力となって回路が回転し、最終的にフルクトース-6-リン酸から糖新生経路に入り、多糖(デンプン)となる。この回路の中核である炭酸固定反応を担うリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ (RubisCO) は地球上でもっとも存在量の多い酵素であると言われている。
反応自体は光がなくても進行するため、光が不可欠な光化学反応(明反応)と対比して暗反応とも呼ばれる。ただし、反応にかかわる酵素のうち、RubisCO をはじめとする複数の酵素は光によって間接的に活性化されるため、暗所では炭酸固定活性が低下する。C3の化合物で行われているので、C3型光合成ともいう。
カルビン回路の反応
カルビン回路はチラコイド膜外部即ち葉緑体基質で起こっている。また光合成細菌の場合は細胞質基質で行なわれる。これらの反応はその回転に13種類の酵素の関与する複雑な回路であり、
- 多糖に変換される系
- 再び炭酸固定反応に使用される系
が共存している。これらの系は共同的に動いている。炭酸固定反応の主格を担う糖は『D-リブロース1,5-ビスリン酸』である。
カルビン回路の多糖変換系収支式は以下の通りである。
この反応を正確に書くと
- 6 CO2 + 12 NADPH + 18 ATP → フルクトース1,6-ビスリン酸 + 12 NADP+ + 18 ADP + 16 Pi
これらの式からわかるが、二酸化炭素が6分子カルビン回路で固定されると(つまり炭酸固定反応に再使用される系が6回転すると)糖新生系に組み込まれるのに十分な炭素が供給される。
メルカリウィンウィンヾ(╹◡╹o)ノ ケルブ回廊👼